酵素法による食品分析

酵素法を用いたF-キット ( 試薬 )は広く一般定量分析に用いられています。
食品分析分野では果実・フルーツジュース類、各種のアルコール飲料 ( ワイン、ビール、酒、焼酎など ) 、
さらには鶏卵、乳製品から肉加工製品に至る日用食品の商品評価、品質管理など幅広く利用されています。

酵素法による生物成分の分析および食品分析

“酵素法分析”は最も信頼性の高い方法の一つとして世界的に認められています

食品分析法としての酵素法分析は、国際的な公定法や機構などで次々と採用、導入されています。
採用されている代表的な国際機関は次の通りです。

  • ISO(International Standardization Organization): 国際標準規格
  • AOAC(American Association of Analytical Chemists): 米国分析化学会
  • IFU(International Federation of Fruit Juice Producers): 国際ジュース製造業連合会
  • IDF(International Dairy Federation): 国際酪農連盟
  • EBC(European Brewing Convertion): 欧州ビール醸造者団体
  • EU(European Community): 欧州共同体連合

注:ドイツなど欧州諸国、日本でも酵素法分析が公定化されています。

“酵素法分析”はHPLCと比較して同等の感度と精度があり、更に優位性があります

天然成分の分析を酵素法による試薬(F-キットを盲検として使用)とHPLC法による分析を
共同研究で比較検討した結果、酵素法はさらに下記の点が優れた部分として特徴づけられました。

  • 装置のコスト削減
  • 有害物質を排出しない
  • 訓練された分析技術が不要
  • 標準物質がなくても定量可能

F-キット酵素法分析試薬の利便性

F-キットは、分析当事者の目線からも多くの利点が認められ、優れた分析結果を提供します。

  • 測定項目の多様性:F- キットは現在 32 種類のキットが用意されています。
  • 汎用性:汎用の分光光度計を使用 ( 自動分析装置にも応用可能 ) します。
  • 高感度と優れた信頼性:高いレベルの品質管理が維持・保証されます。
  • 時間の節約:キット化により試薬調製が簡単になり、ただちに分析操作に入れます。
  • 多種の試料に対応:用手法による試料の前処理例を豊富に記載しています。
  • コントロール用標準液添付:ほぼ全てのキットに添付、日常操作の確認に最適です。

F-キット一般情報

分光光度計の
測定条件
測定原理 触媒作用をもつ酵素による反応が化学量論的に正確であることを確認していること、
分子吸光係数が確立していることや、酵素の高 い特異性(物質選択性が高い)を
用いることを、基にした分光光度分析法です。
UV 測定 F-キットの多くはUV法(紫外吸光度測定法)により定量します。
補酵素 NADH またはNADPHを340nmで吸光度測定し、増減を求めます。
別法として365nmまたは 334nmで測定することができます。
比色法 測定反応系で生じた発色物質の波長(個々の測定項目で異なった波長)
を測定し、 検体濃度を算出します。
L-アスコルビン酸 : 578nm
コレステロール : 405nm
グルタミン酸 : 492nm
D- ヒドロキシ酪酸 : 492nm
ソルビトール/キシリトール : 492nm
キット内容と
試薬調製
包装 多くのキットは1キットで約30回測定できます。
この回数には検体用、ブランク用、 コントロール用の回数を含みます。
(詳細は、価格表を参照)
キット構成 ・酵素
・補酵素
・緩衝液
多くのキットには分析用コントロール溶液が添付されています。
有効期限 全試薬は安定化した形状で包装されています。
バイオファーム社は最低3ヶ月間(通常の有効期限は6ヶ月以上)を保証します。
溶解後の
有効期限
試薬に蒸留水を加えた場合、溶解後試薬の安定性は短くなります。
試薬調製(溶解)をした緩衝液や補酵素溶液は、使用安全を維持するために
一般に、+2℃~+8℃保冷あるいはマイナス20℃の冷凍で保存して下さい。
試料の
調製方法
試料の前処理 分光光度計による測定では、透明な検体溶液であることが必要です。
(少々の濁りは問題ありません)
ジュースやワインはそのまま測定できますが、ミルクなどは除蛋白処理
が必要です。
更に、試料調製の詳細はキットに添付した説明書をご参照ください。
測定操作 測定手順
  1. 蒸留水を試薬ビンに分注し試薬を溶解します。
  2. 試薬溶液と試料溶液をそれぞれキュベット(セル)に分注します。
  3. 約3分後に分光光度計で吸光度E1を測定します。
  4. 酵素の懸濁液をキュベットへ分注します。
  5. 約10分のインキュベーション後(酵素反応後)、分光光度計で
    吸光度E2を測定 します。
  6. 濃度はランバート・ベールの法則により算出します。
測定範囲
正確性
至的測定範囲 約0.04~0.4g/L、キットの種類により異なる。
特異性 キットの種類により異なる。
検出限界 0.1~1 mg/L、キットの種類により異なる。
感度 キットの種類により異なる。
精度 測定中央値から5%以内(標準偏差)
分析装置
器具
使用水
装置 分光光度計340nm、(405nm,492nm,578nm,分析項目により異な)
が読み取り可能な装置、334nmまたは365nm(340nmの代用可能)
器具 キュベット(セル)例: ディスポーサブルプラスチックキュベット
キュベット(セル)ホルダー
ピペット(0.020~1ml用)
再蒸留水(または精製蒸留水、新しい蒸留水)

ロシュ社およびバイオファーム社は ISO 9001の認証を得ています 。

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